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太る自由だってあるのだ-「メタボ狩り」ちょっと待って-

ドクターコラム

私たちは医師会に加入し協力しながら地域医療のため働いています。吉政医院は中京西部地区医師会に
所属
しています。‘中西医報’という小冊子を発行しており、会員の意見交換の場になっています。

上のタイトルは先月発行された‘中西医報 第114号’に投稿した私の文章の題名です。
医者をとりあえずの読者とした文章ですが、朝日新聞に掲載された論説に対する感想ですので皆様にも 読んでいただけると思います。テーマがいわゆる‘メタボ健診’に関わるものですので、ご意見を頂ければ と思います。

以下‘中西医報’からの転載です。
『 題名は5月17日付朝日新聞文化欄に掲載された都築響一氏の論説のタイトルです。
いわゆるメタボ健診を批判した記事ですが、メタボ予防達成率により後期高齢者医療制度への支援金を 増やすというペルティを保険者に課すことへの疑問や、例えば高血圧と診断される人が増えることにより 薬漬けが増長されるといった批判に続いて以下のように言っておられます。引用が長くなり恐縮ですが、
「メタボ体質改善には、だれしも異存はない。
ただそれは、ひとりひとりが自覚して、改善したければ 改善する、病気になってもいいから、おいしいもん食べて飲んで遊びたい!という人は、病気になるまで 趣味趣向に突き進んでいただく、そういうものだろう。
我々には健康的な生活を送る自由もあるが、病気になる自由もあるのだ。」
また、肥満が医療費や経営パフォーマンスにマイナスであるとして、民間保険や企業で始まっているという「メタボ狩り」は日本だけでなく先進国共通に見られる動向のようです。
(「世界に広がるメタボ狩りの波」(ニューズウィーク日本版4月2日号))

これらの記事を読んで、昔一時期熱心に勉強しその成果をまとめた論文のことを思い出しました
(吉政孝明;生活習慣病における医療介入に関する生命倫理的考察、生命倫理、10:128-132,2000
セルフケアにおける患者の自己決定(自律)をめぐって.プラクティス、18:200-201、2001)
その論文は糖尿病診療において、セルフケアの自己決定(都築氏の言う‘太る自由’もその一つ
です)は尊重するけれども食事療法などの制約をお願いすることは治療のためには仕方がない、
というジレンマをどう解決するか
をテーマにしたものです。
合理的な、あるいは公益的な観点から(例えば、家族のためほっておくと病気が悪くなり金がかかるので
若い者に迷惑をかけるなど)我慢をお願いしてもよいのではという考えでまとめたものでした。

この問題は都築氏のように一刀両断で片付く問題ではありません。
“現在の自分が未来の自分を不幸(不健康)にしない方法とは何か?
市場(メタボ狩り?)による選別か、自己責任(太る自由?)か、政府(メタボ健診?)による選別か
簡単には答えが出ないように思われます。
私自身はなんらかの“おせっかい”が必要ではないかと考えています。
残る課題はどのレベルの”おせっかい”がよいのかということでしょう。なかなか妙案はないようです。』

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