カーボカウント Q&A No.2
ドクターコラム
「炭水化物制限食をめぐって」
前回、糖尿病栄養療法の歴史的な流れを概観してきました。
どれくらいの炭水化物をとればよいのか、脂肪はどれくらい控えればよいのかは、それぞれの食習慣、ライフスタイルを尊重することに重点が置かれるようになっています。
誰にとってもこうすべきであるという規範的なものはないという考えです。
この立場に立って、低炭水化物ダイエット、糖質制限食について考えてみたいと思います。
炭水化物制限食を定義しましょう。糖尿病食は一日の食べられる総エネルギーがまず設定されます。
ざっくりいって男女年齢を問わず一日1400-2000kcal でしょうか。
その内どれだけを炭水化物でまかなうかですがその比率を40,50,60%とする食事を‘低’‘中’‘高’炭水化物食とします。
それよりも極端な制限食を提唱される方もおられます。
アメリカ人の平均は炭水化物が大体50%をしめているようです。
‘低’炭水化物食ではどれくらいの炭水化物を含む食事ができるでしょうか?
1600kcalで40%とすると640kcalを炭水化物でとる形になります。炭水化物1gは4kcalのカロリーに相当しますので160gの炭水化物がとれることになります。
現実的ではありませんがそれをすべて白いご飯としますと、茶碗一杯で大体55gですので、一日で三杯。
これで全部です。
なぜ低炭水化物食がよいとされるのでしょうか?糖尿病治療の目標は血糖値を糖尿病でない人の血糖値に近い レベルまで近づけ様々な合併症を予防することにあります。
血糖値は空腹時血糖値と食後血糖値に分けて考えるのが大切です。
食後血糖値は食べたタンパク質や脂肪ではなく、ほとんどが炭水化物の量で決まります。乱暴な言い方をすれば炭水化物を食べれば食べるだけ血糖値が高くなります。
逆も真なり。(朝食前の空腹時血糖値は自身のインスリンを分泌する力に依存していますので、コントロールには糖尿病のお薬が必要になります。)
炭水化物はどのようなものに含まれているのでしょうか?
まず、穀類のご飯、パン、麺類です。そら豆、いんげん豆などの豆類やじゃがいも、さと芋、かぼちゃなどの野菜です。
忘れてならないのは、果物です(なしや柿がおいしい季節です)。
その他には、おやつとして楽しまれる菓子類や、嗜好飲料類のジュースなどにも含まれます。
意外に思われるかもしれませんが牛乳、ヨーグルト、乳製品も炭水化物を含む食品です。
このリストをながめると炭水化物を含む食材は食事の楽しみを提供するものが多いと痛感します。