先生、喉仏の下が痛くて熱が下がらないのです。どうしたのでしょうか? No.2
ドクターコラム
「不思議な病気-亜急性甲状腺-」
前回のコラムで亜急性甲状腺炎の話をしました。
書き終えてから大事なことに触れていなかったことに気がつきましたので続編とします。
簡単に前回述べたことですが、治療はステロイドという薬が奏効します。大体3日以内で痛みは
なくなります。1錠あるいは2錠飲んだだけで熱も下がり痛みもたちどころに治まる方もおられる
ぐらいです。ただクリーピング(英語で‘這う’という意味です)といって、
甲状腺の痛む場所が移動する(最初右側の上が痛んでいたのが左の下側が痛むようになる)ことがありますので、慎重に薬はやめるようにします。
実はこの病気の原因が今もわかっていません。
ウイルスによる感染が原因であるという考えがありますが、証明されたわけではありません。
甲状腺疾患の専門病院として有名な神戸市の隈病院の深田修司先生は、その著書の中で次のよう に言っておられます。
「これだけ徴候は明瞭なのに、さっぱり原因解明が進んでいないのは、はがゆい限りである。」
(‘135の症例でわかる甲状腺疾患の診断と治療’(ベクトル・コア))
このような状況にある病気はほかにもあります。医療の不確実性の原因の1つではないでしょうか?